はんだ付け 基本操作マニュアル
必要な道具
基本セット
あると便利な追加ツール
基本手順
STEP 1:はんだごてを予熱する
- 2〜3分間予熱
- 温度設定:320〜350℃(鉛フリーの場合は350〜380℃)
- こて先が銀色に輝いていれば適温
⚠️ エアコンや扇風機の風が当たる場所では作業しないこと
STEP 2:基板と部品を固定する
- 部品を配置し、マスキングテープで仮固定
- 部品の足(リード線)は基板の裏側に少し出す程度
STEP 3:こて先をきれいにする
- スポンジタイプ:軽く湿らせたスポンジで拭く
- ワイヤータイプ:ワイヤーに差し込んで汚れを落とす
⚠️ こて先が黒く酸化しているとはんだが弾かれる
STEP 4:フラックスを塗る
- ランドとリード線に少量塗る
- 塗布後は素早く作業(蒸発しやすい)
- 使用後は必ず蓋を閉める
STEP 5:ランドとリード線を温める(最重要)
- こて先を寝かせる(30〜45度に傾ける)
- ランドとリード線の両方を同時に温める
- 加熱時間は3〜4秒
コツ:こて先を寝かせることで接触面積が増え、効率よく熱が伝わる
STEP 6:はんだを溶かして流し込む
- はんだをランドとリード線の接点に当てる(こて先に当てない)
- はんだが富士山型になったら、はんだを先に離す
- 1〜2秒待ってから、はんだごてを素早く離す
⚠️ ゆっくり離すと「ツノ」ができる
STEP 7:冷却と確認、余分な足を切る
- 5〜10秒待って固まらせる
- 余分なリード線をニッパーで切る(はんだの付け根から1〜2mm上)
確認ポイント:
- 富士山型になっているか
- 表面がなめらかで光沢があるか
- ランドとリード線の両方に付いているか
STEP 8:導通チェック
- テスターの導通モードで接続を確認
- ブザー音が鳴れば正常
- 電源ラインやGNDを重点的にチェック
失敗しないための10のコツ
| # | コツ | 詳細 |
|---|
| 1 | はんだごてを十分に予熱 | 最低2〜3分待つ |
| 2 | こて先を常にきれいに | こまめにクリーナーで拭く |
| 3 | こて先を寝かせて使う | 接触面積を広くして効率よく加熱 |
| 4 | ランドとリード線を十分に温める | 3〜4秒の加熱時間を守る |
| 5 | はんだは適量を使う | ランドを覆う程度 |
| 6 | はんだごてを素早く離す | ゆっくり離すとツノができる |
| 7 | 固まるまで動かさない | 5〜10秒待つ |
| 8 | 風が当たらない場所で作業 | エアコン・扇風機を避ける |
| 9 | フラックスを活用 | はんだが弾かれるときは塗り直す |
| 10 | 失敗したらやり直す | 吸取線で除去して再挑戦 |
良いはんだ付けの見分け方
良い例
| 特徴 | 説明 |
|---|
| 富士山型の形状 | なだらかで滑らかに広がっている |
| 表面がなめらか | 光沢があり、気泡やひび割れがない |
| 両方にしっかり付着 | ランド全体とリード線に濡れている |
悪い例
| 失敗例 | 見た目 | 原因 |
|---|
| イモはんだ | 球状でランドに馴染んでいない | 加熱不足 |
| 目玉はんだ | ランドだけに付き、リード線が浮いている | リード線の加熱不足 |
| ブリッジ | 複数のランドがつながっている | はんだの量が多すぎる |
| ツノ立ち | 先端がトゲのように尖っている | はんだごてをゆっくり離しすぎ |
トラブルシューティング
はんだの除去方法
- はんだ吸取線を適当な長さに切る
- 除去したいはんだの上に吸取線を置く
- 吸取線の上からはんだごてを当てる
- はんだが吸収されたら、吸取線とはんだごてを同時に離す
- 使った部分の吸取線は切り捨てる
よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|
| はんだが弾かれる | こて先の酸化、フラックス不足 | こて先をクリーニング、フラックスを塗る |
| はんだが流れない | 温度不足、加熱時間不足 | 温度を上げる(350℃まで)、加熱時間を延ばす |
| ブリッジができる | はんだの量が多すぎる | 吸取線で余分なはんだを除去 |
| イモはんだになる | 加熱不足、固まる前に動いた | 加熱時間を延ばす、固まるまで待つ |
| こて先が真っ黒 | 酸化による劣化 | こて先を交換する |
安全対策
| 項目 | 注意事項 |
|---|
| やけど防止 | こて先やはんだは300℃以上。素手で触らない。使用後も10分以上触らない |
| 換気 | はんだの煙(フラックス蒸気)が出る。換気扇を回すか窓を開ける |
| 火災防止 | 必ずこて台に置く。可燃物の近くで作業しない。作業後は電源を切る |
| 目の保護 | はんだが飛び散ることがある。安全メガネの着用も検討 |
鉛フリーはんだ vs 鉛入りはんだ
| 項目 | 鉛フリーはんだ | 鉛入りはんだ |
|---|
| 融点 | 約217〜227℃(高い) | 約183℃(低い) |
| 作業温度 | 350〜380℃ | 320〜350℃ |
| 作業難易度 | やや難しい | 初心者でも扱いやすい |
| 安全性 | 無害 | 鉛は有害。取り扱い注意 |
| 用途 | 商用製品・一般的な電子工作 | 趣味・個人使用 |
初心者へのおすすめ:鉛フリーはんだ(現在の主流、安全性が高い)
鉛フリーはんだのコツ
- 温度を350〜380℃に設定
- 加熱時間をやや長めに(4〜5秒)
- フラックスを積極的に使う
- 換気を十分に行う