はんだ付け 基本操作マニュアル

はんだ付けの基本手順、必要な道具、コツ、トラブルシューティングのクイックリファレンス。

はんだ付け 基本操作マニュアル

必要な道具

基本セット

道具説明おすすめ製品
はんだごて温度調節機能付き(30W以上)が必須goot 温度調節はんだこて PX-280
こて台火傷・火事防止に必須goot こて台 ST27
はんだ鉛フリー、直径0.6mmが初心者向き白光 鉛フリーはんだ 0.6mm
フラックスはんだの流れを良くする薬剤白光 鉛フリーはんだ対応フラックス FS200-01
はんだ吸取線失敗したはんだを除去。幅2〜3mm白光 はんだ吸取線 FR551-2515-J
ニッパー余分な部品の足を切るWORKPRO 薄刃ニッパー

あると便利な追加ツール

道具説明おすすめ製品
ピンセット小型部品の保持や位置調整goot 精密ピンセット TS-15
テスターはんだ付け後の導通チェックAstroAI DM6000AR
ワイヤーストリッパー配線の被覆を剥くベッセル ワイヤーストリッパー 3500E-3
マスキングテープ部品を仮固定3M マスキングテープ M40J-15

基本手順

STEP 1:はんだごてを予熱する

  • 2〜3分間予熱
  • 温度設定:320〜350℃(鉛フリーの場合は350〜380℃)
  • こて先が銀色に輝いていれば適温

⚠️ エアコンや扇風機の風が当たる場所では作業しないこと

STEP 2:基板と部品を固定する

  • 部品を配置し、マスキングテープで仮固定
  • 部品の足(リード線)は基板の裏側に少し出す程度

STEP 3:こて先をきれいにする

  • スポンジタイプ:軽く湿らせたスポンジで拭く
  • ワイヤータイプ:ワイヤーに差し込んで汚れを落とす

⚠️ こて先が黒く酸化しているとはんだが弾かれる

STEP 4:フラックスを塗る

  • ランドとリード線に少量塗る
  • 塗布後は素早く作業(蒸発しやすい)
  • 使用後は必ず蓋を閉める

STEP 5:ランドとリード線を温める(最重要)

  1. こて先を寝かせる(30〜45度に傾ける)
  2. ランドとリード線の両方を同時に温める
  3. 加熱時間は3〜4秒

コツ:こて先を寝かせることで接触面積が増え、効率よく熱が伝わる

STEP 6:はんだを溶かして流し込む

  1. はんだをランドとリード線の接点に当てる(こて先に当てない)
  2. はんだが富士山型になったら、はんだを先に離す
  3. 1〜2秒待ってから、はんだごてを素早く離す

⚠️ ゆっくり離すと「ツノ」ができる

STEP 7:冷却と確認、余分な足を切る

  • 5〜10秒待って固まらせる
  • 余分なリード線をニッパーで切る(はんだの付け根から1〜2mm上)

確認ポイント:

  • 富士山型になっているか
  • 表面がなめらかで光沢があるか
  • ランドとリード線の両方に付いているか

STEP 8:導通チェック

  • テスターの導通モードで接続を確認
  • ブザー音が鳴れば正常
  • 電源ラインやGNDを重点的にチェック

失敗しないための10のコツ

#コツ詳細
1はんだごてを十分に予熱最低2〜3分待つ
2こて先を常にきれいにこまめにクリーナーで拭く
3こて先を寝かせて使う接触面積を広くして効率よく加熱
4ランドとリード線を十分に温める3〜4秒の加熱時間を守る
5はんだは適量を使うランドを覆う程度
6はんだごてを素早く離すゆっくり離すとツノができる
7固まるまで動かさない5〜10秒待つ
8風が当たらない場所で作業エアコン・扇風機を避ける
9フラックスを活用はんだが弾かれるときは塗り直す
10失敗したらやり直す吸取線で除去して再挑戦

良いはんだ付けの見分け方

良い例

特徴説明
富士山型の形状なだらかで滑らかに広がっている
表面がなめらか光沢があり、気泡やひび割れがない
両方にしっかり付着ランド全体とリード線に濡れている

悪い例

失敗例見た目原因
イモはんだ球状でランドに馴染んでいない加熱不足
目玉はんだランドだけに付き、リード線が浮いているリード線の加熱不足
ブリッジ複数のランドがつながっているはんだの量が多すぎる
ツノ立ち先端がトゲのように尖っているはんだごてをゆっくり離しすぎ

トラブルシューティング

はんだの除去方法

  1. はんだ吸取線を適当な長さに切る
  2. 除去したいはんだの上に吸取線を置く
  3. 吸取線の上からはんだごてを当てる
  4. はんだが吸収されたら、吸取線とはんだごてを同時に離す
  5. 使った部分の吸取線は切り捨てる

よくあるトラブルと対策

トラブル原因対策
はんだが弾かれるこて先の酸化、フラックス不足こて先をクリーニング、フラックスを塗る
はんだが流れない温度不足、加熱時間不足温度を上げる(350℃まで)、加熱時間を延ばす
ブリッジができるはんだの量が多すぎる吸取線で余分なはんだを除去
イモはんだになる加熱不足、固まる前に動いた加熱時間を延ばす、固まるまで待つ
こて先が真っ黒酸化による劣化こて先を交換する

安全対策

項目注意事項
やけど防止こて先やはんだは300℃以上。素手で触らない。使用後も10分以上触らない
換気はんだの煙(フラックス蒸気)が出る。換気扇を回すか窓を開ける
火災防止必ずこて台に置く。可燃物の近くで作業しない。作業後は電源を切る
目の保護はんだが飛び散ることがある。安全メガネの着用も検討

鉛フリーはんだ vs 鉛入りはんだ

項目鉛フリーはんだ鉛入りはんだ
融点約217〜227℃(高い)約183℃(低い)
作業温度350〜380℃320〜350℃
作業難易度やや難しい初心者でも扱いやすい
安全性無害鉛は有害。取り扱い注意
用途商用製品・一般的な電子工作趣味・個人使用

初心者へのおすすめ:鉛フリーはんだ(現在の主流、安全性が高い)

鉛フリーはんだのコツ

  • 温度を350〜380℃に設定
  • 加熱時間をやや長めに(4〜5秒)
  • フラックスを積極的に使う
  • 換気を十分に行う