エアブラシ 基本操作マニュアル

エアブラシ塗装の基本手順、必要な道具、塗装の3原則、トラブルシューティングのクイックリファレンス。

エアブラシ 基本操作マニュアル

必要な道具

必須の道具

道具名説明
エアブラシ本体(ハンドピース)初心者には「ダブルアクション」タイプがおすすめ
コンプレッサータンク付きが理想。初心者はエアー缶からも可
エアブラシスタンド塗料カップに塗料が入った状態で安全に置く

初心者セットGSIクレオス Mr.リニアコンプレッサー L7 レギュレーター/プラチナセット

塗料

道具名説明
塗料ラッカー塗料やアクリル塗料が一般的
塗料専用の薄め液(溶剤)必ず塗料と同じメーカーの専用薄め液を使用

作業を快適にする道具

道具名説明
塗装パーツ用の持ち手クリップ、割りばし、針金などで自作
塗装ベース(乾燥用スタンド)塗装面を接触させずにパーツを保持
スポイト塗料や薄め液の計量用
万年皿(調色皿)塗料と薄め液を混ぜる容器
撹拌棒塗料を均一に混ぜる

安全対策・汚れ防止用品

道具名説明
マスク(防毒マスク推奨)ラッカー塗料使用時は有機溶剤用防毒マスク必須
ニトリル手袋色ごとに交換して混色防止
エプロンまたは作業着衣服の汚れ防止
古新聞紙作業机上の汚れ防止、試し吹き用
キッチンペーパー塗料の拭き取り、道具の清掃

安全対策

注意事項内容
火気厳禁ラッカー塗料は引火性。作業場所では火気を完全に禁止
換気の徹底塗料ミストや溶剤の蒸気は有害。窓を開けるか塗装ブースを使用

セットアップ手順

  1. 古新聞紙を作業机に敷く
  2. エアブラシを組み立てる
  3. コンプレッサーと必要な材料を準備する
  4. エアブラシとコンプレッサーをホースで接続する
  5. コンプレッサーの電源をONにする

塗装の3原則

1. 塗料の希釈濃度

基本の希釈比率:ラッカー塗料の場合 塗料1:薄め液3

状態現象対処
適正濃度細かいミスト、薄い塗膜で綺麗に仕上がるそのまま使用
濃すぎる大きい塗料ミスト、綿のような塊、ブツブツ、ノズル詰まり薄め液を追加
薄すぎる色が乗らない、乾きにくい、重ね塗りが必要塗料を追加

2. 吹き付け距離

基本距離:約10cm

距離状態結果
3cm未満(近すぎ)塗料が集中、液垂れ失敗しやすい
10cm前後(基本)均一で美しい仕上がりムラが少ない
15cm以上(遠すぎ)塗料が乾きながら届く表面がザラつく

3. エア圧の調整

基本圧力:0.1〜0.15MPa

  • 初心者は低圧(0.1MPa前後)からスタート
  • 低圧低濃度塗装は発色が弱いが、失敗してもリカバリーしやすい

塗装手順

STEP 1:塗料の準備

  1. 塗料を撹拌する:容器の底の顔料をよく混ぜる
  2. 塗料と薄め液を万年皿に入れる:塗料1:薄め液3の比率
  3. しっかり混ぜる:完全に均一になるまで
  4. エアブラシの塗料カップに入れる:半分程度まで
  5. すぐに片付ける:塗料容器の縁を拭き、蓋を閉める
  6. 塗料カップの蓋を閉める:スタンドに置く

塗料の希釈

塗料をカップに入れる

STEP 2:試し吹きと調整

  1. 調整ネジを最初にしっかり閉める
  2. 調整ネジを少しずつ開いていく
  3. 古新聞紙など廃材に向かって試し吹き
  4. 塗料の希釈具合やエア圧を微調整

ポイント

  • 吹き出し口と対象物は常に約10cmの距離を保つ
  • 希釈濃度が適切でない場合はSTEP 1に戻る

STEP 3:本塗装

テクニック説明
距離を一定に保つ常に約10cm。近すぎると液垂れ、遠すぎるとザラつき
塗り始めはパーツの外から対象物の外側でミストを出し始め、自然にかかるように移動
塗料カップは傾けないエアブラシは常に水平を保つ
左右対称・全体バランスを意識一箇所だけ集中せず全体を見渡しながら
自然光でも確認する光源により色の見え方が変わる
塗装面は乾くまで触らない塗装ベースやワイヤーフックで保持

塗装中の様子

色を変える際

  1. エアブラシをスタンドに置く
  2. 手袋を新しいものに交換(混色防止)
  3. エアブラシを洗浄する

トラブルシューティング

失敗例主な原因対処法
液垂れが発生距離が近すぎる、同じ箇所に吹き続ける、動きが遅い距離を10cm以上に、適度なスピードで動かす、薄く重ねる
塗装面がザラザラ塗料が濃すぎる、距離が遠すぎる、エア圧が高い薄め液追加、距離を10cm前後に、エア圧を下げる
ノズルが詰まる塗料が濃すぎる、乾燥した、洗浄不十分適切に希釈、定期的にうがい洗浄、使用後は必ず洗浄

洗浄とメンテナンス

洗浄方法タイミング手順所要時間
うがい洗浄色を変える時、作業の合間1. 塗料を別容器に移す
2. カップに薄め液を入れる
3. 数回吹き付ける
4. ティッシュで拭き取る
約1〜2分
分解洗浄1日の終わり、濃い色→薄い色、長期保管前1. 部品ごとに分解
2. 薄め液で洗浄
3. 専用ブラシで細部洗浄
4. 乾燥後に組み立て
約5〜10分

チェックリスト

項目ポイント
準備段階安全対策(火気厳禁・換気)、塗装イメージを計画、道具一式を揃える
塗装の3原則希釈濃度:塗料1:薄め液3、吹き付け距離:約10cm、エア圧:0.1〜0.15MPa
実践テクニック必ず試し吹き、薄く何度も重ね塗り、同じ場所に長時間吹き付けない
メンテナンス色替え時はうがい洗浄、1日の終わりは分解洗浄、塗料を乾燥させない