· FabLab Westharima Team · レーザー加工機 · 10 min read
レーザー加工機の安全な使い方|火災・事故を防ぐための基本ルール
レーザー加工機を使用する際の安全対策と基本ルールを解説。火災や健康被害を防ぐために必ず守るべき事項をまとめています。
レーザー加工機の安全な使い方|火災・事故を防ぐための基本ルール
レーザー加工機は便利で強力なツールですが、使い方を誤ると火災や健康被害、機械の損傷につながる危険があります。 この記事では、レーザー加工機を安全に使用するために絶対に守るべき基本ルールを解説します。
安全に使うための基本
レーザー加工機の安全な使用は、最優先事項です。実際に操作を始める前に、以下の注意事項を必ず確認してください。
火災防止が最優先
⚠️加工中は絶対に機械から離れてはいけません
- レーザー加工時に加工素材が予期しない方法で燃焼することがあります。
- 特に、パラメータが高い場合や、素材に可燃性の塗料やコーティングがある場合は、火が出る可能性があります。
- スマートフォンを見たり、他の作業をしたりは絶対に禁止です。数秒の間に火が広がることもあります。
- 加工中は機械の前に立ち、常に加工状況を監視してください。
- 発火の危険や異常を察知したら、速やかにSTOPボタンを押し、機械を停止しましょう。火が出ていないか確認してください。
発火の危険や異常(例)
- いつもと違う動き・異変を察知
- 通常より大きな煙が出ている
- 異常な音がしている
- 火花や炎が見える
- 焦げた臭いがしている(通常のレーザー加工臭ではなく、強烈な臭い)
⚠️消火器を常備
- 加工スペースには必ず消火器を置いてください。
- もし火が出た場合、レーザーを停止させても燃焼は続きます。
- すぐに消火器で消火する必要があります。レーザー加工機を使用する際は、消火器を手の届く位置に必ず配置してください。
⚠️煙の管理
- 排気ダクトが正常に機能していないと、加工時に大量の煙が室内に充満し、可視性が低下します。
- 加工中に火が出ても、煙で見えなくなる危険があります。加工前に排気が正常に機能していることを確認してください。
加工禁止素材と危険性
⚠️絶対に加工してはいけない素材
レーザー加工できない素材は多くあります。これらを誤って加工すると、機械の故障や火災の原因になります。
| 素材 | 理由 | 危険性 |
|---|---|---|
| 塩化ビニル(PVC) | レーザーで加工すると塩化水素ガスが発生 | 有毒ガス発生、腐食 |
| ポリカーボネート | 高温で膨張・変形・燃焼 | 火災、機械損傷 |
| 繊維強化プラスチック(FRP) | 高温で分解、燃焼 | 火災、有毒ガス発生 |
| 透明な硬いプラスチック全般 | 塩化ビニルの可能性が高い | 有毒ガス発生 |
| 不明な素材 | 成分不明のため加工不可 | 予測不可能な危険 |
| 鏡面加工・メッキ加工されたもの | レーザーが反射・異常加熱 | 機械損傷、火災 |
| 極度に燃えやすい素材 | 加工中に即座に燃焼 | 火災 |
| フッ素系材料(PTFE など) | 加熱で有毒ガス発生 | 有毒ガス発生 |
⚠️特に注意:透明プラスチック板(正体不明素材)の扱い
市販・ネット通販の「透明プラスチック板」には、PVC(塩化ビニル)などの塩素系素材が混在していることがあり、レーザー加工すると有毒な塩化水素ガスが発生します。
- 素材が不明な透明プラスチック板は絶対に加工しないこと。
- 有毒ガスは吸い込むと健康被害(呼吸器への障害)を引き起こす恐れがあります。
- 塩化水素ガスは金属部品や機械内部を腐食し、レンズ・ミラーを曇らせて加工精度も大きく低下します。
必ず製造元・品番・素材表示を確認し、「塩素を含まない」素材のみを加工してください。「不明なもの=使用しない」が正解です。
加工後の安全
⚠️素材の熱への対応
- 加工直後は素材が高温になっています。素手で触らないでください。
- 加工完了後、少なくとも 1~2 分待ってから素材を触ってください。特に切断面は温度が高いため注意が必要です。
⚠️排気の継続と素材の取り出し
- 加工終了後も、しばらく排気ファンを動作させてください。
- 加工時に発生した煙が完全に排気されるまで待ちます。
- 素材を取り出す際は、煙が完全に消え、かつ最低1~2分経過してから触るようにしてください。
日常的なメンテナンスと安全点検
定期的な清掃
⚠️レンズとミラーの清掃
- レンズやミラーにホコリや汚れが付着すると、レーザーの反射が不安定になり、火災の原因になります。
- 定期的に専用クリーナーで清掃してください。
⚠️排気ダクトの確認
- 排気ダクトが詰まっていると、煙が逆流して室内に充満します。
- 定期的にダクト内部を確認し、汚れやゴミを除去してください。
加工前の毎回チェック
以下の項目を加工前に必ず確認してください:
- 消火器の位置確認:手の届く場所にあるか
- 排気機能の動作確認:正常に排気されているか
- 加工床の清掃:前回の加工残骸が残っていないか
- 素材の確認:加工可能な素材か、表示を確認したか
- 周囲の安全確認:可燃物が近くにないか
緊急時の対応
火災が発生した場合
- すぐに機械を停止:STOPボタンを押す
- 消火器で消火:小さな火であればすぐに消火
- 火が大きい場合は避難:無理に消火せず、119番通報して避難
- 換気を行う:火が消えた後、十分に換気する
有毒ガスが発生した場合
- すぐに機械を停止
- 換気を最大にする:窓を開け、排気ファンを最大にする
- その場から離れる:ガスを吸い込まないよう、すぐに屋外へ
- 体調不良があれば医療機関へ:呼吸困難、めまい、吐き気などがあればすぐに受診
まとめ:安全第一でレーザー加工を楽しむ
レーザー加工機は、安全ルールを守れば非常に便利で楽しいツールです。 しかし、一瞬の油断が火災や健康被害につながる可能性があります。
必ず守るべき3つのポイント
- 加工中は絶対に機械から離れない
- 加工禁止素材(特にPVC)は絶対に使わない
- 消火器を常備し、緊急時の対応を把握しておく
これらを徹底することで、安全で快適なレーザー加工ライフを送ることができます。




